PFC.10 第二部レポート
PFC.10 2015年8月15日(土)ターミナルプラザことにパトス
【第二部】
第一試合 ライト級Aルール 5分2R
×HEY ウリタ! (CORE釧路)
〇大森北斗(パワーオブドリーム)
1R40秒 チョークスリーパー
初出場チームのCORE釧路からPFC初参戦が二人、先ずはHEYウリタが先陣切って第二部の第一試合に。
対するはPODの若武者、POD期待の大森北斗である。
互いに打撃でローとミドルキックの相打ちから一気に組み合う展開へ、組み合ったら直ぐに大森がスタンド状態からバックにまわり試合は1分40秒大森のバックマウントからのチョークがガッチリ極まって勝負あり。
まだまだ実力が出し切れなかった印象のウリタ、釧路から新たなチームの参戦、次回の試合に期待したい。
大森、連戦で勝利、PFCランキング基準により、これで嬉しいライト級3位へ正式にランキングインを果たした。
第二試合 級Aルール 5分2R
〇山本章広 (パワーオブドリーム)
×佐々木朋靖(チームff)
2R4分3秒 腕ひしぎ十字固め
お互いベテランらしい動きで、終始一進一退の攻防。チームffの佐々木はこれまでにないくらいの気合が入った試合だった。
対するPOD山本章広はいつもながら淡々として飄々としながら、スタミナの不安を抱えながらの試合展開。山本の持ち味は兎に角粘ること。
粘っこい試合をするが、スタミナが極端にない。
1R目は明らかに佐々木が優勢、佐々木攻めるが山本はなんとか切り返す、1R終了後攻め疲れを見せる佐々木だが、山本はそれ以上に疲れており、山本はガス欠で2R戦えないんじゃないかと1R終了時には誰もが思う程の疲れようで2R目のゴング。
2R終盤まで互いに何故かスイングしながら譲らず、最後は油断したのか、残り一分で表情的にも苦しそうなのは山本の方だったが、佐々木あっけなく下から腕を極められて負け。
最低ドローに持ち込めた試合、佐々木にとって惜しい敗戦である。
勝った山本も死力を尽くし立ち上がれず。スタミナが無いのにここまで出来るのはベテランならではの芸当。この試合以外にも想像以上になんだかスイングしてこの時点で私的にはベストバウトであった。
敗れた佐々木も心は折れておらず、これを機に一気に調子を上げて行くつもりのようだ。次回に期待したい。
第三試合 ライト級Aルール 5分2R
×HEY リョータ! (CORE釧路)
〇ネッツ安藤(パワーオブドリーム)
1R58秒 腕ひしぎ十字固め
CORE釧路とPODの2番勝負、二人目のHEYリョータ!が登場だ。
対するはウェルター級のランカーであるPFCではお馴染みの、勝っても負けても常に熱い良いファイトをするネッツ安藤である。
プロフィールと違い身長やリーチの見た目はほぼ同じ感じの二人。良いファイトが期待された。試合はスタンドからもつれあいながらグランドへと移行、グランド移行時はネッツが得意の下からの腕狙い。
これがバスッと極まって勝負あり。久々のスカッとする勝利、安藤にとって嬉しい一日となった。
プロフィールではCORE釧路の選手は二人とも総合半年とまだ経験が浅い選手、こうやってこれからドンドン経験を積んで行けばまだまだ期待出来る逸材と見受けられました。
楽しみな選手達です。
CORE釧路のチームを上げた次回の巻き返しに期待したい。
第四試合 フェザー級Aルール 5分2R
△ミッチ(髑髏會)
△伊東亮(ジャクソン道場)
タイムアウト ドロー
この試合からウェルターからフェザー級に転向したジャクソン道場伊東亮、ウェルター級のランキングを返上しフェザー級での王者を目指す第一戦。
その第一戦から強敵登場~。
髑髏會からミッチが前回に引き続き登場、今回はAルールでジャクソン道場の伊東、前回はGルールでPODの山本空良を子供ながら子供扱いで貫禄の勝利でPFCデビューを果たしたミッチ。
今回の相手はジャクソン道場の伊東とあって好試合が期待出来た。
ある意味、ミッチの実力が試される試合、そして伊東にとってもフェザー級に落としての第一戦目から黒星は避けたいところである。
試合は玄人受けする老獪なテクニックでミッチが伊東を怒涛の攻めでプレッシャーをかける。特に下からのグランドテクニックは目を見張るものがあった。
下からミッチがラバーガードで伊東をジワジワ追い込むも、そこは流石ジャクソン道場の伊東。伊東も負けじと返して行く、打撃戦にもなったが、打撃は伊東の方が分が良かった感じである。が、試合は終始一進一退の見応え十分な互いにテクニカルな攻防が目まぐるしく展開された。
2Rのフルに互いに出し切り、清々しい様相を見せた。フェザー級にまた楽しみな選手が登場した。ミッチ、そして伊東、今後も期待したい。
第五試合 ライトヘビー級Aルール 5分3R
×谷川洸太(雅)
〇大沼哲雄(大沼道場)
1R2分39秒 肩固め
注目のライトヘビー級対決が実現、しかもこの二人は空手家である。
大型空手家同士の迫力ある打撃戦。打撃戦で決着付くかと思いきや、大沼がテイクダウン、そしてまさかまさかの肩固めで決着。
大沼曰く、同じ空手家として、若い谷川選手には総合で戦って行くにはこういう寝技の武器も必要だと教えたかったと言う。そういった想いで今回の空手家同士はまさかの寝技決着となった。
ある意味、これはこれで今後空手家の総合化が楽しみになる決着である。
谷川選手は雅期待の大型の若武者、まだまだ可能性を秘めている。
大沼の期待に応えられるか?!谷川選手の次回の進化に大いに期待したい。
第六試合 フェザー級Aルール 5分1R
△成田宏樹(髑髏會)
△齋藤 天(大沼道場)
フルタイム ドロー
PFCプロデューサー山本と禅道会小沢代表との友情から実現した禅道会齋藤選手出場。
この試合は休憩を挟んでの後半戦の第一試合であるが、髑髏會のリーダーがいよいよ満を持してPFCに初登場である。
対するはこちらもPFC初登場の禅道会の齋藤、東京からの参戦である。禅道会と言えば総合空手の名手である。今大会茶帯とはいえ、禅道会からもPFCに出場選手が参戦とあって、益々PFCから目が離せない。
試合は打撃戦から寝技へと目まぐるしいテクニカルな展開、ボクシング技術で成田、テイクダウン技術で齋藤、グランドでは五分の様相の二人、立ってよし、寝てよし、とハイレベルな戦いを繰り広げてくれた。
もう少し観てみたかった。この二人の試合は1Rでは短いと思う。今後は未定だが、禅道会の齋藤選手東京から良く参戦してくれました。感謝ですね。
髑髏會の成田選手も久々の試合の相手が好敵手であったので、嬉しそうだったのが印象的。
強い相手であれば、ある程、燃えるタイプの成田。今後の活躍に期待したい。
第七試合 ウェルター級Aルール 5分2R
×王子(SCWC )
〇渡辺トシキ(パワーオブドリーム)
1R3分8秒 腕ひしぎ十字固め
シューイチ・ビシャスでお馴染みのSCWCからシューイチだけに任しちゃ置けないと王子が参戦。
当初大きかった体重がこの日に向けてシャープに、ウェルター級でのPFC初参戦となった。
対するは現PFCウェルター級1位の渡辺トシキである。
相手にとって不足なし、柔道経験のある王子は柔道着姿で登場、試合はまるでPRIDE時代の吉田秀彦vs〇〇〇〇のような様相のリング状。
試合は打撃で翻弄する渡辺、王子はなかなか組み付けない、初参戦で少し動きが硬かったか!!
寝技の展開となったら渡辺一気に十字葬。 空手着とは違うまた新鮮な見栄えがするPFCのリングであった。
SCWC のレスリング技術に柔道殺法が合わされば・・・ウェルター級戦線に面白い男が登場だ!シューイチ同様王子にも期待◎である。
セミファイナル ウェルター級Aルール 5分3R
×前田GORI雅幸(熊の穴 )
〇KENTA(BIF)
2R1分41秒 V1アームロック
GORIは前回大会でジャクソンと無差別級を行い男を上げた。
未だ勝ち星には恵まれていないが、毎大会確実に成長の跡が見える選手である。将来のウェルター級戦線で活躍してくれそうな期待のGORI、今回も強敵KENTAが相手である。
相手のBIFKENTAはBEACHFIGHT.Ⅱにも参戦、PFC.9で久々の登場で硬さが目立ったKENTA、BEACHFIGHTでは素晴らしいパフォーマンスを見せた。
そして、この試合に挑んだ。PFC.9での硬さは無かったKENTA、GORIも調子良さそうで果敢に攻めるが、KENTAは冷静にGORIの攻撃を一個一個潰して行く。
段々とGORIが追い込まれて行き2R善戦するもV1アームロックで敗れた。これでKENTAはウェルター級2位へ急浮上。
次回はいよいよPOD渡辺トシキとの因縁の再戦が期待される。ウェルター級でこの二人が頭一つ出ているように思う。ウェルター級二強時代が来るのだろうか?
はたまたニューフェイスが登場するのか?今後のウェルター級戦戦はこの男が面白くしてくれそうだ。
メインイベント 初代ライト級王座決定戦 Aルール 5分3R
×新名正啓(ジャクソン道場 )
〇銀次(BIF)
フルラウンド 判定1-2
PFC始まって以来の初の王座決定戦であり、ライト級の王者が決まる大一番。
この試合だけ5分5Rでラウンドマストシステムによる判定が設けられた。
PFC.6での借りを返したい新名、まぐれ勝ちじゃない事を証明したい銀次との運命の一戦は両者互いに譲らない今大会全ての試合の感動を塗り替える大熱戦となった!!
1R目は全てのジャッジが明らかに新名に上がっていた。
2R目は銀次、3R目が前半の分かれ目で後半の終盤のがぶりからの攻撃の印象が良かったのか?銀次にジャッジペーパー2人が上げていた。
前半の状況報告では1-2で銀次と発表、その時の新名サイドの顔が忘れられない。確かに3R前半は新名の方が勝っていたようにも見える。が、ジャッジは後半の最後の状態評価をしたようだ。
銀次リードで後半戦へ突入。
第4ラウンド 新名が出る。出る。ラッシュを掛ける。も、怒涛のラッシュを耐えに耐え抜く銀次、パンチも互いに当っていたが、次第に新名のタックルが銀次に切られはじめる。
試合は最終ラウンドへ
誰が、ここまでの展開を予想しただろうか?今大会の全試合の結果を観て貰っても分かるように、3Rあったとしても3Rまで行かず、2Rの試合でもフルタイムは第四試合のみ、今のこの北海道で5分5Rを戦い抜ける選手がいることに我々は自信を持つべきだろう。
前半の第三ラウンドを新名が取っていたとしても、後半の2ラウンドを取られてしまっては勝てない。が、前半負けている新名、死力を振り絞って4Rは本人達にも観客にも微妙な状況であることは明白。
勝負は最終ラウンド、判定で負けているかも知れない新名は怒涛の最後のラッシュを仕掛ける。が、銀次も応戦する。互いの拳が交差し、新名がグラつけば、銀次もグラつく、互いの維持と維持のぶつかり合い!観客も歓喜の新名、銀次コール。
どっちが勝ってもおかしくない、PFC初代ライト級王座決定戦に相応しい全ての観客や、関係者、選手達、セコンドに感動を与えてくれた大熱戦となった。
二人は見事、あの世界最高峰のUFCの頂きで戦う選手達と同じ条件下でのタイトルマッチ、5分5R、ラウンドマストシステムによる過酷な王座決定戦をフルタイム戦い抜きました。
試合後、銀次はその場で崩れ、リング状でセコンドからバケツが出され、ゲロを吐いていた。
結果はBIF銀次が判定1-2で勝利しました。後半の4、5R銀次に上がっているジャッジが多かったのが印象的でした。
そして、最終集計で3人のジャッジの勝ちの多い数を計算し1-2と成りました。ラウンドマストシステムは毎ラウンド優劣を必ず付けなければならず、微妙な試合をするとそれぞれのジャッジの価値感で左右されます。
結果、常にPFCが求めている今この場所から未来のPOUND FOR POUNDを育てる意味でも、判定に泣かず、必ずKOか一本勝ちが出来るコンプリートな選手を育て、輩出したいという主催者の想いがこうやって判定があったとしても、互いに死力を尽くして勝ちに行く一進一退の最高の試合となったのだと思います。
二人はどこに出しても恥ずかしくない試合をしてくれました!!
PFCの想いがこの二人に宿っていたように思います。どっちも判定勝ちなど更々狙っていない。KOか一本だと。
新名選手も頑張りましたが、根性の差でしょうか?!銀次選手は独自の試合勘を構築し、寝技などの技術的なもの以上の試合で必要な技術を手に入れて来たように思います。
並みの選手なら新名選手のラッシュについて行けなかったでしょう。もう、銀次選手は立派な格闘家です。この先更なるベルトの価値を高められるよう頑張って貰いたいと思います。
この夏最後のPFC.10初代ライト級王者が決まりました。これからライト級は銀次を中心に回ります。新名選手の巻き返しにも期待します。
PFC始まって以来一番最高の素晴らしい試合でした。北海道にこんな素晴らしい試合が出来る選手が居るんです。みんな誇りを持っても良いのでは?ないでしょうか!!